東芝が米国の原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)への出資を現在の87%から引き下げる方向で検討していることが分かった。米原子力事業で最大7000億円の損失が見込まれる事態となり、リスクへの抜本的な対策としてWHとの関係見直しを模索する。ただ、損失発覚後のWHの株式引き受け先を探すのは困難で、原発事業見直しの枠組みが固まるまでは曲折がありそうだ。
東芝はWHが手がける米国での原発建設で工期の遅れなどにより建設コストが増大し、巨額損失につながった。海外を中心に原発事業を大幅に見直す方針で、来月14日に具体的な中身を公表する予定だ。
原発事業は社内カンパニーから独立させ、社長直轄の組織とする。
巨額損失の元凶となったWHへの統治強化を図るとともに、関係見直しにも着手する。東芝幹部は「株式売却は当然の選択肢」と語る。すべて手放すことも含め検討すべきだとの声もあるという。
だが、現実的にはリスクの高さが浮き彫りになった原発企業の「引き取り手はいない」(アナリスト)との見方が大勢だ。原発を推進する中国やロシアの企業が浮上する可能性もあるが、安全保障上の懸念があり困難な見通しだ。
東芝は原発事業の見直しについて、海外で原発建設工事の新規受注をやめ、設計や原子炉の製造などの分野に専念するほか、海外での原発の受注計画も見直す方向で検討中。経営の自立などを見据え、事業の分社も視野に入れる。