米原発事業で最大7000億円の巨額損失が見込まれる東芝の志賀重範会長が退任する方向で調整に入ったことが29日までに分かった。損失の発生源となった米原発子会社、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の社長などを歴任しており、経営責任を明確化する。
東芝は損失額の確定や原因を詰めた上で、人事の諮問機関である指名委員会で議論し、2016年4~12月期決算と併せて2月14日にも発表する見込み。綱川智社長については、これまで電力や原発を直接担当しておらず、退任は免れそうだ。WHのダニー・ロデリック会長は退任する可能性が高い。東芝は不正会計問題を受けて昨年6月に経営陣を刷新したばかりで、企業統治が改善していないとの批判が高まりそうだ。
志賀会長は日本電機工業会の会長も務めており、任期中の退任は業界への影響も大きいため、17年3月期決算を発表する今年5月前後に進退を決めるとみられていた。ただ、巨額損失発生の事態を重くみて決定を前倒しする方向となった。志賀会長の後任は空席とする見込み。
東芝はWHを通じて15年末に買収した原発建設会社で巨額損失の恐れが発覚。買収当時、志賀会長は電力担当の副社長だった。