米原発事業で多額の損失を計上する見通しとなった東芝は10日、取引銀行を集めた会合を東京都内で開いた。今回の事態に至った経緯を説明した上で再建に向けた協力を求め、融資の継続を要請した。三井住友銀行とみずほ銀行、三井住友信託銀行の主力3銀行は支援する意向を表明した。他の銀行は23日までに判断する。
10日の銀行団との協議は約1時間にわたった。
東芝は買収した米原発建設会社の資産価値が想定を大幅に下回る見通しとなり、2016年4~12月期に最大数千億円の損失を計上する可能性がある。このため、昨年末に格付投資情報センターや米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から相次いで格付けを引き下げられた。このままでは銀行からの借り入れを続けるのが難しくなると判断した東芝は、会合で2月末まで融資残高を維持するよう求めた。
銀行団による東芝向けの融資残高は昨年9月末時点で約8000億円で、主力行を含む大手行が半分を占める。半導体事業が好調で、構造改革も進んでいることから、主力行は要請に応じる考えを示した。ただ、東芝の経営悪化が進むと銀行側が損失を被るリスクがあるため、「リストラ策を見極めたい」(主力行関係者)との慎重論は根強い。
リストラ策として浮上しているのが、主要なグループ会社の売却案だ。しかし、冷蔵庫などの白物家電や医療機器といった大型の事業は既に手放している。
事務機器の東芝テック(東京都)や東芝エレベータ(川崎市)が残った候補として取り沙汰されるが、売却先を見つけるのに時間がかかる上、財務を大幅改善できる売却益を得られるかは不透明だ。