■ビール・飲料ともに過当競争より協調
--2017年の税制改正でビール類の酒税が10年かけて一本化されることが決まった
「ビールの減税に関しては、もっと安くしてほしいという気持ちはあるが、長年の要望だっただけに評価している。一方、発泡酒と第3のビールは増税されるが、10年かけて対応していく。ただ、10年先を予想するのは難しく、どこのメーカーが有利不利というのはない。また、今回の税制改正に併せて(果肉などを加えてもビールとして認められる)定義変更があったことも評価している。風味にこだわったクラフトビールで、面白い商品が作りやすくなる」
--米ブルックリン・ブルワリーと提携するなど、クラフトビールの強化を打ち出している
「国内市場全体に占めるクラフトビールの割合は1%未満だが、5年程度かけて3%まで市場を拡大したい。ただ、キリンだけで成功することはあり得ない。競合他社と協力して、クラフトビールの文化をつくっていきたい。要請があれば、他社と原料の調達や委託生産などで協力していきたい」
--国内ビール業界の再編は必要か
「投資家は『再編してほしい』と言う。その理由はビール業界が過当競争だからだ。過当競争がなくなり収益性が上がれば、投資家も言わなくなるだろう。シェア争いというのは消費者にとっては意味のないことだ。各社が収益を重視し無意味な価格競争がなくなれば、業界再編は必要ないと考える」
--赤字が続くブラジル事業の再建は
「ブラジル事業は業績が回復してきた。15年12月期は多額の減損損失を計上したが、16年12月期は赤字幅が大きく縮小する。16年12月にビールや飲料を生産している工場を売却したが、今後も資産の圧縮を検討し、経営効率を高める。19年12月期にはブラジル事業を黒字化する計画だが、気持ちとしては時期を前倒しして黒字化したい」