創業者の本田宗一郎氏(1906~1991年)の「夢」とされた航空機事業への参入が達成された形だが、課題も残っている。
最大のハードルが生産ペースだ。藤野氏は今年1月に、16年は約50機を納入する方針を示していた。だが、「部品メーカーの品質の不足や、(顧客の操縦)トレーニングが間に合わないことで納入できないこともある」(藤野氏)という。
そのため16年は月3機(年36機)程度の生産で、計画よりも納入は遅れている。ホンダは部品メーカーに人材を派遣するなど改善策を講じ、生産を加速している。
ホンダは17年度に月4~5機まで増やし、19年度には年間100機程度のフル生産に引き上げる方針。八郷(はちごう)隆弘社長は「(航空機事業は)創業者の夢であり、短期で事業になっていると思っていない」と語るが、量産効果で採算を改善して業績を向上できるかが鍵になる。(会田聡)