経営再建中の東芝が、米国での原発事業を巡り平成29年3月期決算で1千億円規模の損失計上を検討していることが27日、分かった。米子会社が昨年買収した原子力関連会社の資産価値を見直した結果、巨額損失を計上する見通しとなった。さらに損失が膨らむ恐れもあるとみられる。東芝は原発事業を半導体と並ぶ柱と位置付けており、経営の抜本的な見直しを迫られそうだ。
東芝は昨年12月、米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を通じて原発の建設を手掛ける「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター」を買収。この会社の資産価値を精査した結果、損失の計上が必要と判断したとみられる。
東芝は不正会計で収益力の低下を隠し、今年3月期は最終損益が4600億円の赤字に陥った。財務の基盤である株主資本は、今年9月末時点で3632億円になっており、損失が膨らめばさらなる財務悪化は避けられない。東芝は主力取引銀行などに状況を説明しているもようで、金融支援の要請につながる可能性もありそうだ。
東京証券取引所は今月19日、不正会計問題が起きた東芝の特設注意市場銘柄の指定を継続すると発表。ただ、東芝は半導体事業の持ち直しで今年11月の時点では29年3月期決算の最終損益が1450億円の黒字に転換する見通しを示していた。原発事業の巨額損失が経営再建の足かせとなる恐れが出てきた。