出光創業家、なお合併に反対
昭和シェル石油との合併を目指す出光興産は19日、公正取引委員会が昭和シェルの株式取得を承認したことを受け、英オランダのロイヤル・ダッチ・シェルから31・3%の株式を取得した。これにより、出光経営側は出光創業家との協議を再開できると期待を寄せる。しかし、創業家は合併に反対の姿勢を崩しておらず、合併の道のりはなお険しい。
出光は昭和シェル株を今回、1株当たり1350円で取得し、取得総額は約1590億円に上った。
当初計画では約33・3%を取得する契約だったが、創業家側は合併阻止の対抗策として昭和シェル株の約0・1%を取得した。出光が計画通りに昭和シェル株を取得すると出光の保有比率が3分の1を超え、株式公開買い付け(TOB)が必要になるため、2%引き下げた。
出光経営側によると、創業家側はこれまで「インサイダー取引規制に抵触する」として話し合いを拒んできた。経営側は昭和シェル株の取得により問題は解消したとして「直接話すことが法的にも可能になる」と期待を寄せる。
創業家の説得に成功すれば公取委に改めて昭和シェルとの合併審査を申請し、臨時株主総会で承認を諮る方針。だが合併の命運を握る創業家側の代理人は19日、産経新聞の取材に対し「合併に反対する状況は変わらない」と主張した。
一方、昭和シェルは出光の株式取得により出光が筆頭株主となる。昭和シェル幹部は「出光が大株主になるのは一過性のものだと思っている」としているが、創業家の説得が長引けばこの状態が長期化する。
両社は平成29年4月の合併を目指していたが、出光創業家の説得を続けるために合併時期を延期し「未定」としていた。