中国で「回転ずし」の人気が高まっている。古くからの食習慣で生ものに拒否反応を示す傾向のあった中国人だが、健康食としての日本料理ブームや、訪日観光を経験した中間所得層の急増で関心が高まり、手軽な価格で「すし」が地元にいても味わえる、と注目され始めた。
売り上げ年20%増
上海市内と江蘇省蘇州市に合わせて11店舗を、いずれも直営で運営する「がってん寿司(中国語名は合点寿司)」。2008年11月に1号店を上海市内で開店し、現在1店舗1日当たり100~200人の来店客がある。従業員は約200人を抱える。上海法人の倉地厚・董事長兼総経理(会長兼社長)は「売上高ベースで年間20%前後の拡大が続いている」と話した。
上海市は世界最大級の日本人社会を抱える都市だが、それでも「がってん寿司」来店客の95%は中国人。「いかに中国人の好みに合ったメニューやサービスを提供できるか」に倉地氏は現地スタッフとともに知恵を絞ってきた。倉地氏によると、握り人気トップ3は(1)サーモン(2)フォアグラ炙り(3)うなぎ。マグロは日本ほどではなさそう。
1人前の握りずしは60~100元(約1000~1700円)と決して安くはないが、主要店で来客1人当たり平均消費額は軽く100元を超える。
回転ずし店とはいえ、中国では「すし」だけでは客を呼べない。鍋ものやラーメンなど、温かい食事もリーズナブルな料金で提供するメニューの取りそろえが欠かせない。すしが中心の日本料理店とのイメージだ。