日産自動車は16日、エンジン部品の生産工程で使う加工技術のライセンスを工作機械メーカーのエンシュウに供与すると発表した。供与額は非公表。日産は供与で得た収入を自動運転や環境対応車など最先端技術の投資に振り向け、開発負担の低減につなげる狙い。日産が供与するのはエンジン部品のシリンダーブロックの仕上げ加工用に使われる「ホーニング加工」と呼ばれる研磨技術。エンシュウは、日産のノウハウと自社技術を組み合わせて、従来より導入コストを最大3割抑えられるエンジン加工向けの工作機械を開発し、12月に発売するという。
世界の自動車メーカーの中で技術ライセンスの供与を行うのは米フォード・モーターや独ダイムラーなど数社しかない。ライバルを利する恐れがあるためだ。それでも日産が取り組むのは、ライセンス収入に加え、専門メーカーに技術を託すことで装置の価格が下がれば、結果的に原価の低減につながるとみているため。今後も年10件以上の供与を進める計画だという。