パナソニックは14日、バックミラーやサイドミラーの代わりに高性能カメラとモニターを取り付けた、「ミラーレス車」用の基幹部品の販売を平成29年度中に始めることを明らかにした。衝突の危険を知らせる警告をフロントガラスに表示できる新技術などとあわせて、セットで自動車メーカーに対して売り込む戦略だ。電機大手の本格参入により、乗用車への普及が一気に進む可能性がある。
ミラーレス車は、高性能カメラが写した視界を運転席のモニターで確認しながら運転する。視界は、鏡に比べて広く、画像処理で鮮明にすることも可能で、安全性の向上に役立つと期待される。今年6月には道路運送車両法の保安基準が改正され、こうした「電子ミラー」を搭載した車の製造が解禁になった。
パナソニックは27年6月末に車載用ミラーで世界シェアの約2割を占める自動車部品大手フィコサ・インターナショナル(スペイン)と資本提携。パナソニックが得意とする画像技術と融合したミラーレス車部品の開発を進めてきた。29年度中に販売する電子ミラーは、車の全周囲の視界を取り込むことができ、死角を大幅に減らせるという。フロントガラスに後方や側面の視界の一部を映せるほか、前方の車や人物との衝突の危険性を注意喚起したり、カーナビゲーションの地図情報を表示したりする機能も加える。導入されれば、従来の車のデザインも大きく変わる可能性がある。
電子ミラーをめぐっては、市光工業や村上開明堂といった自動車ミラー大手も量産化を目指しており、パナソニックの参入により普及が加速しそうだ。