欧州企業相次ぎ買収
清酒、焼酎が主力の宝酒造は、欧州全域で展開する食品卸売業者としての顔も持つ。同社海外事業本部の木下勝仁副本部長は「近年は食品卸が海外事業の主力に育ってきている」と話す。
同社は10年にフランスの食品卸会社フーデックスを買収して、欧州での食品販売に参入した。13年には英国の食品卸会社タザキフーズ、14年にはスペインの食品卸会社コミンポート、16年にはポルトガルの食品卸会社ケタフーズをそれぞれ買収してきた。
欧州ではコメのほか、みそ、しょうゆ、カツオ節、昆布など和食に必要な食材や調味料のほとんどを扱っている。さらに、取引先を集めてカツオや昆布からだしをとる方法の講習会を開くなど、和食文化の普及活動も進めている。
こうした取り組みは、食品卸の事業拡大に欠かせないが、本業のためでもある。「日本料理店が増えないと日本酒の輸出拡大にはつながらない」と木下氏は話す。
カレーから豆腐に…
1981年に主力商品のカレーを販売するため米国に進出したハウス食品は、豆腐の定着に力を注いできた。
83年にロサンゼルスの下町で豆腐工場を営んでいたハワイ州出身の夫婦と合弁会社を設立。広大な米国の国土に対応するよう賞味期限を延ばす工夫を加えた。また、炒め物のような料理に加えるほか、ジュースのように「飲む」こともある米国人の幅広い需要に応えるべく、硬さも数種類選べるようにした。
現在、米国で豆腐は日本料理の一品としてだけではなく、ダイエット食品としても一般に定着。ハウス食品はトップシェアを維持し続けている。
欧米で和食は流行を超えて、ひとつのジャンルとして定着しつつあるが、本来の良さを保つためには正しい知識が必要だ。和食文化を広げるためにも、関西の食品メーカーに対する期待は大きい。