東電HD社長、廃炉費用「国民に負担かけず」 分社化は回答避ける

記者会見をする東京電力ホールディングスの広瀬直己社長(右)=31日、東京都千代田区
記者会見をする東京電力ホールディングスの広瀬直己社長(右)=31日、東京都千代田区【拡大】

 東京電力ホールディングス(HD)の広瀬直己社長は31日、東京都内で記者会見し、想定より兆円単位で増えるとみられる福島第1原発の廃炉費用について、「収益向上とコスト削減で利益を創出し、国民のみなさんに負担をかけることなく捻出する」と述べ、自助努力でまかなう考えを強調した。

 経済産業省は、廃炉費用が年間800億円から数千億円まで拡大するとみている。広瀬氏はこの費用について、他社との連携や海外事業の拡大、「モノのインターネット(IoT)」を活用した電力ネットワークの高度化など「徹底的なビジネスモデルの改革」で賄うと説明した。

 ただ、経産省が示した原子力部門の分社化案については「お答えできる立場にない」と述べるにとどめた。

 東電HDが31日発表した2016年9月中間連結決算は、経常利益が前年同期比24.9%減の2742億円と、中間期として4年ぶりの減益となった。電力小売り全面自由化で100万件以上の顧客を失ったことなどが響いた。17年3月期の業績予想は、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働が見通せないため、引き続き公表を見送った。