富士通は20日、膨大な組み合わせの中から最適なものを高速で探し出す計算機アーキテクチャー(基本設計)と、人やモノのつながりを編み目状に表す「グラフ構造」のデータを解析する機械学習技術「ディープテンソル」を開発したと発表した。物流から医療まで多分野で技術を活用させたい考えだ。
子会社の富士通研究所(川崎市)が研究開発の説明会を開き公表した。
アーキテクチャーは、従来の半導体技術でデータの移動を極力減らす回路構成を採用することで高速計算を可能にした。性能評価では、32の都市を巡回する際の最短距離となるコースの組み合わせを分析して、一般的なコンピューターと比べ1万2000倍の1秒未満の早さで解答を導き出した。
実用化すれば、膨大な拠点を持つ物流の最適化や、災害時の復旧計画、投資判断などの支援に活用できるという。
これまで人やモノの関係性を表す情報の解析には、専門家が事前に一定のパターンを入力する必要があり、精度も高くなかった。ディープテンソルは従来手法では見逃してしまう重要な特徴を自動抽出できる。
従来技術と比べ、約100倍の数十万種規模の化合物の構造と活性の関係を学習できたといい、医療品開発などへの実用化を期待している。
いずれも2017年度前半以降の実用化を目指す。