シャープは8日、プラスとマイナスのイオンを放出し、空気中の細菌やウイルスを抑制する独自技術「プラズマクラスター」が、医療現場での結核菌感染や、薬剤が菌に効かなくなるリスクの防止効果があることを実証したと発表した。プラズマクラスターの医療機器への応用も視野に入れて研究を続ける考えだ。
シャープは昨年5月から、ジョージア国立結核病院と共同で臨床試験を実施。プラズマクラスター技術を使ったイオン発生装置計140台を院内の病室や廊下に設置して、空間イオン濃度が1立方センチ当たり平均10万個になる環境をつくった。
その結果、設置エリアでは、医師や看護師の結核菌感染リスクが、設置していないエリアと比べて約75%低減。患者の結核菌が耐性を獲得して薬剤が効かなくなるリスクは約78%減ったという。
シャープは、プラズマクラスターが気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎の原因とされるダニアレルゲンや、新型インフルエンザウイルスなどの作用を抑制する効果も実証しているが、医療機器に応用したケースはまだないという。
沖津雅浩常務は「医療機器として認証を得るかどうかについては、今後の検討課題だ」と述べた。