シャープは鴻海からの出資完了後、2千億円を有機ELの量産に向けて投じる計画だ。主力の亀山第2工場(三重県亀山市)や、本社を置く堺工場(堺市)での量産が検討されている。
だが、榊原聡・執行役員は鴻海からの出資の遅れが有機EL開発に与える影響について問われると「出資が決まった後で、詳細に検討したい」と述べるにとどまり、計画そのものが停滞していることをうかがわせた。
出資のめどが立たない中で再建も遅れ、人材の流出が進む悪循環。シャープは10月末にも行われる28年度9月中間連結決算で、再建計画の詳細を発表する見通しだ。だが、技術革新の進むディスプレイ分野では、迅速な意思決定と量産化計画が欠かせない。前倒しをしてでも計画を先に進める必要がありそうだ。