ビール大手4社の6月中間連結決算が、5日出そろった。“ビール離れ”が進む中、缶チューハイや清涼飲料などビール以外の売り上げが堅調で、4社は営業増益や黒字転換とした。各社はビール類をてこ入れしているが、市場の縮小に歯止めはかからず、ビール以外が業績を下支えする構図が当面続きそうだ。
5日に決算を発表したサントリーホールディングス(HD)の営業利益は872億円と、前年同期比で14%増えた。ビール類の販売数量が1.6%増に止まる一方、節約意識や“家飲み志向”の高まりなどを背景に缶チューハイが14%伸びるなど、増益に貢献した。
キリンHDのビール類の販売数量は6.8%減少。缶チューハイや茶飲料の販売増などでこれを補い営業増益を確保した。アサヒグループHDも缶チューハイの新ブランドが好調だったほか、サッポロHDは不動産事業の稼働率が高水準だった。
16年12月期は全社が営業増益を予想する。ただ、国内の個人消費の低迷は続き、海外事業も円高が進めば円換算での収益が目減りするため予断は許さない。
キリンHDは「キャンペーンなどを追加し、後半追い込む」(代野照幸常務)として下半期以降のビール類の販売を強化する方針だが、年間の販売数量は2.6%の減少を見込んでいる。缶チューハイは5.7%増、茶飲料は12.0%増を計画しており、ビール以外が業績を引っ張る形は変わらない。