ことし日本を訪れた外国人旅行者が早くも1000万人を突破した。訪日客の需要を当て込み、東京・銀座では商業施設の再開発が相次ぐ。ただ、円高進行などで中国人客らの「爆買い」は変調の兆しがあり、売れ筋も宝飾品などの高額商品から化粧品や生活雑貨にシフトしてきた。消費の牽引(けんいん)役に陰りが出ており、小売業界関係者の不安は募っている。
ことし3月、東京・銀座の一等地にオープンした大型商業施設「東急プラザ銀座」。中核店舗はロッテグループの免税店だが、今月15日昼の来店客はまばらだった。女性店員は「この時間帯は団体客が少ない」と話すが、別のフロアの店舗関係者は「免税店の商品は空港などで買えるものも多く、客がなかなか来ないようだ」と打ち明けた。
9月には銀座4丁目交差点の一角に、日産自動車やソニーのショールームが入る商業ビル「銀座プレイス」が全面開業する。施設を手掛けるサッポロ不動産開発(東京)の生駒俊行社長は「商品を大量に並べる施設ではなく、爆買いが一服しても影響は少ない」と強気だ。周辺の松坂屋銀座店跡地には来年4月に大規模複合施設が開業し、競争が激化する。
銀座の盛り上がりを牽引してきたのは訪日客だ。ことしは6月5日時点で1000万人を超え、過去最速となった。