熊本地震の企業業績への影響が広がり始めている。トヨタ自動車は25日、停止していた車両組み立てラインの稼働を一部の工場で再開したが、約8万台に生産の遅れが出る。ホンダやソニー、東京エレクトロンなどは平成29年3月期の連結業績予想の発表を延期。いずれも主力工場の一部が被災し、業績に一定の打撃があるとみられる。生産停止は力強さに欠ける日本経済全体に影を落としつつある。
トヨタがこの日再開したのは「プリウス」を生産する愛知県豊田市の堤工場など4工場。宮城県など他の工場のラインも28日にかけて段階的に再開させる。
地震ではアイシン精機グループの熊本市内の工場などが被災。ドアやエンジンなどの部品が不足したため、19日からグループ会社を含むトヨタの国内のほとんどの工場の車両組み立てラインの稼働を停止した。
トヨタは「海外を含めて、部品の代替生産のメドがついた」として再開に踏み切り、今後、生産の遅れを取り戻す方針だ。
ただ、大西弘致(ひろぢ)専務役員は4月末時点で約8万台の生産に影響が出ることを明らかにした。米国で好調な「レクサス」車などを生産するトヨタ自動車九州の福岡県の工場などは依然、稼働を停止しており、影響が拡大する恐れがある。
アイシン精機は28日の28年3月期決算発表と同時に公表する予定だった29年3月期連結決算の業績予想の公表を延期する。地震の影響で見通しを示すのが困難になったため。