日本鉄鋼連盟が20日発表した平成27年度の粗鋼生産量は、前年度比5・2%減の1億417万6千トンだった。リーマン・ショックの影響を受けた21年度(9644万8千トン)以来の低水準となった。減少は2年連続。
中国の鉄鋼メーカーが国内で消費しきれない製品を安値で大量に輸出して国際市況が悪化する中で日本メーカーが生産を抑えた。日本国内でも消費税増税の影響が長引き、軽自動車税の引き上げもあったため自動車向けの需要が低迷した。建築向けも不振だった。
国内需要について、鉄鋼連盟の柿木厚司会長(JFEスチール社長)は、2020年東京五輪に向けた需要の本格化などから「4~6月が底で、7~9月からいろいろ出てくる」との見方だ。だが、熊本県などで相次ぐ地震により自動車メーカーの生産が停止したほか、中国の鉄鋼業界で生産の抑制が進んでいないこともあり、先行きには不透明感が強まっている。
鋼種別では、自動車の車体やマンションの鉄筋などに使われる普通鋼が4・7%減の8087万4千トン、強度を高める処理などを施した特殊鋼が6・7%減の2330万2千トンだった。
同時に発表した3月の粗鋼生産は前年同月比6・8%減の864万8千トンで、19カ月連続の減少となった。アジア通貨危機の影響を受けて過去2番目の長さとなる19カ月連続の減少を記録した平成9年12月~11年6月に並んだ。自動車や建設関係の需要が弱かった。