個人やチームの行動は組織文化の結果として表れるため、「組織文化を知ることは、行動の特徴をつかみ行動に適した環境をつくる指標になるためオフィスづくりに活用できる」と山田研究員は強調する。
米ミシガン大学のK.S.キャメロン教授とR.E.クイン教授が開発した診断ツールを使用し、組織文化を分析すると、「家族文化」「イノベーション文化」「階層文化」「マーケット文化」の4つの強弱が示され、さらに現在と将来目指したい理想の文化傾向が分かる。同社が取引先約170社について組織文化の現状を調べたところ、秩序を重んじた中で堅実に取り組みながら安定した連続性を維持していくことが特徴の「階層文化」(35%)が最多。一方で、将来目指す方向としては、和気あいあいとした中で互いに尊重しながらチームワークを維持していくことが特徴の「家族文化」(36%)がトップだった。ただ、現在から理想への増加率では、開放的な雰囲気の中でチャンスを求めて変化に対応していくことを特徴とした「イノベーション文化」が最も高かった。
山田研究員は「新たな価値創造が求められる時代の反映。かつて製造業を中心にモノづくりでイノベーションを起こしてきた日本企業の現状への危機感の表れではないか」と話す。
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◆社員個々の価値観変える
現在の文化を変革して異なる文化へ移行しようとする企業は数多く、こうした動きは今後さらに加速することが予想される。「組織文化を変えることは、そこに所属している人々の価値観を変えることで、例えばミーティングなどそこで行われる行動形式も変わる。組織文化を捉えることで、行動の特徴をつかみ、行動に適したオフィス環境を考えることによって、組織力を最大に発揮できるオフィスをつくっていくことができる」との見方を山田研究員は示す。