一方、鴻海は過去に傘下の液晶子会社を立て直す際、部品の供給網を大胆に切り替えるなど、コスト削減を徹底した。「合理的で成果主義」(鴻海関係者)とされる郭会長のトップダウン型経営は、協調性や手続きを重視する日本の企業文化とは異質だ。シャープとの摩擦が顕在化する恐れも指摘されている。
予兆は既に表れている。鴻海は25日夕、正式契約の締結を保留した。シャープが開示した文書に「想定外の負債が生じる恐れがみつかった」(金融関係者)とみられる。鴻海は書面でシャープが「内容を明らかにする必要がある」と主張。「今回の協議が円満な結果に達することを期待する」とし、合意を得るのは今後の協議次第だと強調した。
過去に鴻海は、いったん合意したシャープへの出資について、株価下落を理由に見送った経緯があるだけに、新たな“条件闘争”の火種となる恐れもある。