官民ファンドの産業革新機構の志賀俊之会長(日産自動車副会長)は19日、東京都内の日本記者クラブで会見し、経営再建中のシャープが近く支援先を決めることに関し「機構としてベストを尽くした」と述べ、シャープが優先的に交渉する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業を逆転し、支援先に選ばれることへの意欲を改めて示した。
志賀会長は、冷蔵庫や自動車に液晶画面が使われる傾向にあることから、シャープの持つ液晶技術は需要の拡大が見込まれ、将来性があると強調。「世界との勝負ができる価値がある技術で、勝ちに行くために(支援を)提案した。シャープと株主、日本の成長にも良い案だ」と指摘した。
鴻海の提案との違いは「事業再編を軸にした」ことを挙げた。シャープを軸に国内産業をまとめ、競争力を高めるべきだとする持論も展開した。
革新機構はシャープと東芝の白物家電の統合を検討していたが、シャープが鴻海を選んだ場合、「次の仕掛けを考えていく」と述べ、別の方法で再編を目指す意向も示した。
シャープには、鴻海が7000億円規模の支援を提案。機構は3000億円のシャープ本体への出資を軸とする提案をしている。