■中国の若者に「使命」問いかけ
昨年、精華大学や、国家の肝煎りで設立された「中小企業支援連盟」の大会などで講演させていただきました。聴講者は今の中国経済を動かしている人たちばかり。呼ばれたきっかけは私自身、よく分からないままですが、自著「女の選択」(NHK出版)が中国で翻訳出版されているので、人づてに私のことをお知りになっていた人が推薦されたのかなと思います。
◆女性第1号の体験
ところが、現地に行ってみてびっくり。講演の順番はうしろから2番目、テーマは金融で、私は金融専門家ということになっていました。いまさら逃げも隠れもできません。「私は金融専門家ではありませんが」と断りながら、日本の男女差別の激しい時代に、大企業中心の産業界で、女手一つで起業して、日本初のニュービジネスを始めたものの、金融機関からもベンチャーは完全無視され、苦労しながらもここまでたどり着いた生きざまを赤裸々に語りました。そんな時代の女性ベンチャー第1号の体験からの金融を語ったのです。
すると講演を終えて、拍手喝采のなか会場から退出しようとすると、聞いていた1000人余りの人たちの半分以上が写真を撮りたい、握手してほしい、サインしてもらいたい、と付いて出てきたのです。メーンスピーカーである次の登壇者に失礼千万(せんばん)と、私も主催者も慌てました。中国にはベンチャーを目指す若者たちが多くいて、金融の専門的なことより、日本の私の体験談に興味を持ったようでした。