東芝は29日、利益水増し問題で執行役1人が辞任し、室町正志会長兼社長ら役員16人が給与の減額を行う追加処分を発表した。今回の問題で辞任した幹部は計10人になった。室町氏は以前からの報酬カットを含め、90%の減給。同日立ち上げた経営刷新委員会には、オブザーバーとして小林喜光・経済同友会代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)が入った。同社と刷新委は新体制についての検討を加速させ、8月中旬までに固める方針だ。
辞任したのは米国事業トップの大角(おおすみ)正明執行役上席常務(60)。問題を調査した第三者委員会は、大角氏がテレビやパソコン事業を行う社内カンパニー社長だった平成23年に、利益水増しに関与したと指摘。報告書は「大角氏以下の意思決定の下、パソコン事業においても意図的かつ組織的に不適切な損益対策が実施された」と責任を追及していた。大角氏は米州総代表、東芝アメリカ社取締役会長も同日付で辞任した。
役員報酬の返上は執行役8人が40%で、社外取締役4人は20%。室町氏ら辞任していない社内取締役も返上額を上乗せした。