このため、社会的インパクト投資をより一層推進するには、休眠預金以外の財源を探求していく必要がある。有望視されるのは、使われなくなった土地や家屋などの「休眠資産」ではないだろうか。
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■日本でSIBの導入が想定される事業領域例
◆就労支援
≪概要≫
無業状態の若者や社会的弱者の就労支援を行うことで、社会的生産性の向上と社会的コスト削減を実現する
≪想定される評価指標≫
・就労数の増加
・生活保護受給者数の減少(生活保護費削減)
・所得税など納税額の増加
・社会保険料徴収の増加
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◆高齢者医療・介護予防
≪概要≫
高齢者を対象に健康増進、介護予防プログラムを行うことで、高齢化に伴い増加する医療費・介護保険費用を削減する
≪想定される評価指標≫
・高齢者の健康状態の改善
・対象となる高齢者の前年度比の医療費
・介護保険請求額の削減
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◆児童養護、養子縁組・里子里親
≪概要≫
現在主流の児童養護施設による養育ではなく、養子縁組を促進することで、養育環境の改善と施設維持コストなどを削減する
≪想定される評価指標≫
・施設で養育される子供の数の減少
・措置費、維持・管理費の削減
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◆再犯防止
≪概要≫
受刑者の再犯を防止するためのメンタルケアや就労支援プログラムを提供することで、再犯率を低下させ収監・司法コストなどを削減する
≪想定される評価指標≫
・受刑者の再犯率の低下
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【プロフィル】石川和男
いしかわ・かずお 東大工卒。1989年通産省(現経済産業省)入省。経済、エネルギー、産業、消費者など各種の政策に携わり2007年退官。東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授などを経て11年9月から現職。49歳。福岡県出身。