2015.2.12 20:59
消耗戦を繰り広げる国内2社の背中には、台湾や中国の液晶メーカーが迫っている。技術的にはアップルが採用するJDI、シャープ、LGディスプレイが頭一つ抜けているが、台湾・中国勢も技術開発を強化し、設備増強も進めており、その差は縮まりつつある。
一部のタブレットなどを除き、スマホなどでは液晶パネルの性能差が問われなくなり、汎用(はんよう)品化が進んでいる。差異化できる余地について、米調査会社ディスプレイサーチの早瀬宏シニアディレクターは「あとは消費電力を大幅に抑えるぐらいだ」と指摘する。
汎用品化が進めば、液晶の価格競争がさらに強まる恐れがある。中国向けで巻き返したJDIに対抗するため、シャープがさらに値下げすれば、互いの利益を食い合う悪循環に陥るばかりだ。共倒れの懸念から、業界ではシャープとJDIが統合する、との噂もささやかれている。
かつて、日本のお家芸だった半導体やデジタル家電は、韓国勢や中国勢に技術で追いつかれ、シェアを奪われた。シャープが先鞭(せんべん)をつけた液晶テレビも、いまや中韓勢が主役で、日本のメーカー各社は縮小・撤退が相次ぐ。残る中小型の液晶パネルでも同じ轍(てつ)を踏む恐れがある。