廃業決定後、全国の学校や予備校から問い合わせが相次ぐ。羽衣文具は注文に対応するため、チョークの生産終了時期を1カ月延ばし、ライバル企業「馬印」(名古屋市)に「フルタッチ」の製造方法を引き継いだ。
馬印の加藤泰稔社長は「需要が復活することは難しいが、『書いて消す』というチョーク文化はこれからも日本で根強く残り、大切にしていきたい」と強調する。
■安価な海外製の流入
国内チョークメーカーを取り巻く環境は徐々に厳しさを増しているようだ。公立学校へ納入する場合も、品質重視から価格重視傾向が強まり、単価が下落した。
さらに中国から格安ショップなどで売られる安価なチョークも輸入されている。高品質を売りとする国内チョークは海外に輸出するほどの価格競争力もない。
国内トップシェアの日本理化学工業(川崎市)の大山隆久社長は「海外輸出はゼロではないが、全体の1%にも満たない」と説明。主力のチョーク事業のほかにも「企業向けホワイトボード関連商品を増やすようになった」と経営方針の転換を模索する。