耕作放棄地や休耕田に食べないコメを栽培しエタノールを生成、残渣(ざんさ)は家畜の餌として活用するのがファーメンステーションの事業スタイル。視察も相次いでいる。この“奥州モデル”をフランチャイズチェーン(FC)方式も含め、5年以内に50カ所まで拡大するのが目標だ。(伊藤俊祐)
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≪Q&A≫ブランド戦略 新市場を創出
--コメを由来とするエタノールの特徴は
「一般的なエタノールの匂いは“ツーン”といった感じがするのに対して、まろやかな印象を与える。それが付加価値となっており、市場価格の200倍以上もするが個人の人気も強い。エッセンシャルオイルによって香水や化粧品を作る際にはエタノールを使用するが、素材を十分に生かすため香りがまったく異なるからだ。『商品にストーリー性を持たせたい』といった理由で、化粧品メーカーからの問い合わせも増えている。通販会社はエタノール用のコメを生産している農家の食用米を販売し始めた。これが一番目指していたところだ」
--今後の事業戦略は
「一般消費者向けの商品展開に力を入れる。その一環としてブランド戦略に力を入れており、アパレルメーカーが運営するおしゃれな雑貨店や百貨店などでの取り扱いも広がっている。洗顔用せっけんは海外への輸出も行う。既存の市場を奪うのではなく、エタノールの新しい市場を作り出すという姿勢で取り組んでいく」
--コメ以外の原料化は
「さまざまな材料を対象に検証を進めている。例えば傷が付いた桃やリンゴによるエタノールはすごく香りがいいので、香料として活用できる。生ごみによるエタノール化の研究にも力を入れていく考えだ。実用化できればアルコールランプや農機具の燃料として活用することを、視野に入れている」
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