腕時計型端末市場には、サムスンのほかLG電子やソニーも参入している。しかし4~6月期の世界出荷台数は合計約100万台で、1年間で約10億台を販売するスマートフォン(高機能携帯電話)市場とは比較にならない。
アップルによる腕時計型端末の開発は2010年ごろから取り沙汰され、最近では高級腕時計ブランド「タグ・ホイヤー」の幹部を引き抜くなど体制づくりを整えてきた。アップルは満を持しての市場参入で、サムスンなどを一気に追い抜いて腕時計型端末市場でのブランドを確立したい考えだ。
また今回の腕時計型端末にはクックCEO体制下での初めての本格的な新製品という意味合いもある。アップルはジョブズ氏の下で携帯音楽プレーヤー、スマートフォン、タブレット型端末など数々の画期的な商品を打ち出してきた。しかしIT業界のカリスマだったジョブズ氏の死後は、「アップルはクールさを失った」(業界関係者)との見方も出ており、今回の腕時計型端末の成否はアップルの未来を占う試金石になるといえる。