トヨタ、国内減少を北米市場が補う 浮沈のカギ握る新興国

2014.8.5 22:46

 トヨタ自動車の4~6月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益、最終利益ともライバルの独フォルクスワーゲン(VW)を上回り、世界トップレベルの収益力を改めて示した。だが、VWは来年にもトヨタを抜き世界販売首位になるともいわれている。VWとの激しい競争にどう立ち向かうかが課題として残っている。

 本業の収益性の高さを示す売上高営業利益率は、6%あれば高水準とされるなか、トヨタは4~6月期は10・8%を達成した。利益率の高さは、東日本大震災以降、「短期の業績に一喜一憂しない」(豊田章男社長)との方針のもと、コスト削減などにより、1ドル=85円、年間生産台数が750万台になっても利益が出る体質を地道に構築したたまものだ。

 一方のVWは小型車から高級車まで、共通の部品や素材でつくる技術で先行するなど、品質とコスト削減の両立を進めている。4~6月期はユーロ安に悩まされながらも、営業利益率6・5%を確保した。さらに世界首位の奪取に向け、VWは積極的な設備投資で生産拡大を図るなど準備を進めている。

 両社は、すでに販売面で激しい競争を繰り広げている。今年上半期(1~6月)の販売台数でも激しい首位争いを演じ、トヨタが509万台で3年連続で首位を保った。だが、VWとの差はわずかに3万台だ。トヨタは「いたずらに販売台数を追わない」(豊田社長)としているため、VWが来年にも首位に躍り出る見通しが強い。

 こうした中、両社の課題は中国での対応だ。トヨタは世界最大市場の中国での拡販が、逆にVWは中国依存からの脱却が懸案となっている。VWは、トヨタが得意とする北米での拡販を虎視眈(たん)々(たん)と狙っており、今後の競争はさらに激しさを増しそうだ。(飯田耕司)

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