【ビジネスアイコラム】
2年連続で業績下方修正を実施した日産自動車の業績面での出遅れ、および同社の中期経営計画「日産パワー88」の不発ぶりは再三メディアでも取り上げられてきた。2016年度までに世界シェア8%、営業利益率8%を目指すが、今年度会社計画は、世界シェア6.7%、営業利益率5.7%にとどまり、実現はいばらの道だ。緒戦のつまずきは多くの原因が指摘されるが、マネジメント力が旺盛な事業拡大に追随できなかったことは否定しがたい。
特に、米国事業のつまずきは、ゴーンCEO(最高経営責任者)自身が「人災」と振り返る。生産管理から収益管理に至るまで、12年から問題が途切れることがなかった。安定しない経営メンバー、猫の目のように変わる経営方針に生産現場もディーラーも混乱をきたしたと聞く。人災と言っても、その任命責任は最高責任者のゴーンCEOにあることは明白だ。
近年のゴーン氏のメディア評価はいまひとつ。フランスと日本の上場企業であるルノーと日産のCEOを兼務することは、物理的な制約以上に、企業とガバナンスの観点からも容易なことではない。結果を出せなければ容赦なく非難され、持続させることは困難だ。まさに、今年は正念場である。