しかし、よくよく考えてみると、何のことはない、ソクラテスの時代に責任者に求められているものとなんら変わりはないように思える。古代ローマ帝国に造詣の深い塩野七生さんによれば、賢帝と呼ばれた皇帝は、広大な古代ローマ帝国を外遊し、各地にて帝国の防衛線を守る兵士に激励とねぎらいの言葉をかけるとともに、自らの考えを伝えたという。やはり、その土地を訪れ、直接人と会うことの大切さを示しているように思える。
「傾聴」の必要性
さて、他部門と話をするときに注意すべき点がある。それは「意識して相手の言葉を聞く」という点である。カウンセリングで言うところの「傾聴」だ。単に聞くのではなく、注意を払って、より深く相手が何を言おうとしているのか、何を伝えたいのかを受け止めながら、真剣に聴くことだ。そうすることで、相手がこちらのことを認め、今後こちらからの話も聞いていただける関係が構築できることにつながる。