舛添要一・元厚生労働相が初当選した東京都知事選から一夜明けた10日、東京電力など電力業界の関係者は安堵(あんど)の表情を浮かべた。「脱原発」を唱える細川護煕元首相らが当選すれば、各社が待ち望む原発再稼働が遠のく恐れがあったからだ。
東京都は東京電力の株式1.2%を保有する大株主とあって、都知事の影響力が強い。東電幹部は、舛添氏をこう評した。
「建設的な議論ができる人という印象だ」
舛添氏も「脱原発」を唱えるものの、細川氏の「原発即ゼロ」路線とは一線を画しており、電力業界では「閣僚経験者として、現実路線を重視する人」とみられているからだ。
猪瀬直樹前都知事は、値上げに強硬に反対したり、昨年には都立施設の電力調達先を東電から中部電力系に切り替えたりと、ことごとく東電と対立してきた。
東電関係者は「本来、株主は株価を上げるために企業価値を高めようとするはずなのに、猪瀬さんは当社の足を引っ張っていた」と打ち明ける。
「舛添氏は理詰め」との評もあるが、電力業界関係者からは「それでも、猪瀬さんよりきちんと話を聞いてくれそうだ」と期待の声が上がっている。