原子力発電所を持っていない沖縄を除く電力9社の平成25年4~12月期連結決算が31日、出そろった。東京と東北は、電気料金の値上げや設備の修繕工事の先送りなどの経費圧縮により、経常損益が前年同期の赤字から黒字に転換した。だが、原発停止や円安による火力発電用の燃料費増大で6社は経常赤字。通期の経常損益も5社が赤字見通しで、厳しい経営実態が改めて浮き彫りになった。
原油や液化天然ガス(LNG)など輸入燃料の多くは外貨建てで決済されており、円安に伴い北海道を除く8社の燃料費は前年同期より膨らんだ。
収支改善のため、8社のうち6社が電気料金の値上げを実施。中部も家庭向け料金の4月からの平均4.95%の値上げを政府に申請している。
各社とも今年度内の原発再稼働は厳しく、昨年4月から料金値上げを実施している関西、九州も人件費の削減や修繕先送りなどで赤字幅は縮小したものの、原発停止の影響で、年間2千億円規模の収支悪化となる見込み。通期の経常損益の赤字額は、関西が1250億円、九州が1600億円を予想。中部は前年の435億円から2倍超の1100億円に拡大する見通しだ。
一方、新たな総合特別事業計画(再建計画)が政府に認可された東京は、修繕費を前年同期の8割以下に抑えるなどコスト削減を徹底し、経常損益は1892億円の黒字に転換。通期見通しでも570億円の黒字を確保する見通しだ。
だが、再建計画で想定している、柏崎刈羽原発(新潟県)の7月以降の再稼働の見通しは立っていない。
「設備の安全や電力の安定供給を考慮し、慎重に判断していきたい」(住吉克之常務執行役)と、さらなる修繕先送りのハードルは高く、難しい経営のかじ取りが続く。