東京電力は20日、原子力部門から福島第1原発の廃炉事業を社内分社化し、来年4月1日をめどに「廃炉カンパニー(仮称)」を設置すると発表した。再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)の事業とは切り離し、廃炉作業の責任を明確化するのが狙い。
自民党が10月末にまとめた提言では、廃炉事業の社内分社化▽完全分社化▽独立行政法人化-の3案が例示された。東電は、30~40年かかる廃炉作業には社内の資金やノウハウをそのまま活用できる社内分社化が最適と判断した。
現在、原子力部門で廃炉作業に当たっている約1200人が同カンパニーに移る予定。トップは廃炉・汚染水対策最高責任者(CDO=チーフ・デコミッショニング・オフィサー)とし、増田尚宏・原子力安全監視室副室長が就任する。
東電は、2016年度にも持ち株会社を設立し、傘下に燃料・火力、送配電、小売りの3子会社を置く検討を進めているが、持ち株会社移行後も「全社で廃炉に取り組む」(広瀬直己社長)という観点から、廃炉カンパニーは本社部門の社内分社とする方針。
同社は、18日の取締役会で福島第1原発5、6号機の廃炉を決め、同原発はすべての原子炉が廃止されることになった。
さらに、政府が20日に決めた復興指針案では、東電に廃炉事業の独立組織設置を求めた。東電は、これらの動きを受けて、「廃炉カンパニー」の設置を決めた。
また、執行役員ソーシャル・コミュニケーション室長として、外資系企業の広報責任者を歴任した榎本知佐氏を来年1月1日付で招く。