【ビジネスのつぼ】伊藤忠商事 バイク保険「ホンダプラス」 (3/3ページ)

2013.12.16 05:00

バイク保険営業の秘訣は「正規販売店のニーズを拾うこと」と話す伊藤忠商事物流・保険ビジネス部の河井一心課長補(右)=ホーチミン市

バイク保険営業の秘訣は「正規販売店のニーズを拾うこと」と話す伊藤忠商事物流・保険ビジネス部の河井一心課長補(右)=ホーチミン市【拡大】

  • ホンダベトナムの正規販売店では、中間所得層の拡大でスクーターが売れ筋だ=ホーチミン市
  • 世界第4位のバイク大国ベトナムの通勤風景=ホーチミン市

 ホンダプラスのビジネスモデルの源流はタイにある。河井さんは2004~09年にタイの首都バンコクに駐在した際、同国でホンダプラスと同様の仕組みを構築していた。

 河井さんは当時、3カ月に1度は約1カ月かけて地方販売店の声を吸い上げる草の根営業をしてきた。04年に8万件弱だった保険契約数は、盗難や事故処理のきめ細かいサービス、安心感が口コミで広がったこともあり、現在では約3倍の25万件強に成長した。

 河井さんはタイから帰国後、「タイのビジネスモデルを成長するアジアの他国に横展開し、消費者向け保険を伸ばしたい」と考え、上司にかけあった。インドネシアやミャンマーも調査したが、国ごとに規制の異なる保険は参入障壁が高く、一筋縄ではいかない。ベトナムも政府認可に時間がかかるのがネックで、保険ブローカーのライセンス取得には最短で2年かかる。「このスピードでは商機を逃す」とあきらめかけたが、早期に立ち上げられる保険代理店設立に切り替え、ベトナム進出が実現した。

 伊藤忠にとって、ベトナム市場での次の一手は、地場の金融機関のクレジットカードにバイク保険を組み込むことだ。目下、来年のサービスに向け水面下の交渉を急いでいる。タイの隣国のカンボジアとラオスもホンダのバイク販売台数が増えつつあり、どうくさびを打ち込めるかが次の狙いだ。(上原すみ子)

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