「当時の街は猛烈にエネルギッシュ。若い人たちの青春や恋愛を捉えたかった」。大多さんが作ろうとしたのは「恋愛ドラマ」だった。
「すてきな片思い」転機
若者はそのドラマ作りを熱く支持した。昭和63年の「抱きしめたい!」(最高視聴率21・8%)や平成元年の「愛しあってるかい!」(同26・6%)、2年の「世界で一番君が好き!」(同25・5%)などヒット作が続いた。
だが、2年の「恋のパラダイス」で視聴率は同17・0%と大きく落ち込む。「次から次へとトレンディードラマは作られるけど、設定は大きく変わるわけじゃない。視聴者も飽和状態だったんだろうね」
そこで、次作の「すてきな片思い」では、普通のOLとサラリーマンが通勤電車で出会い、恋をするという「地に足のついたトレンディードラマ」(大多さん)に思い切って転換。最高視聴率は26・0%に復活した。「潮目をうまく捉えられた。正直ラッキーだった」という。その後、「東京ラブストーリー」(同32・3%)、「101回目のプロポーズ」(同36・7%)へと続き、フジの連ドラは黄金期を迎える。