東京ガスとパナソニックは21日、都市ガスを使って電気とお湯を生み出す家庭用燃料電池「エネファーム」のマンション向け製品を共同開発したと発表した。マンション向けの製品化は世界初という。2014年4月に発売して新築マンションの開発業者向けに売り込み、戸建て向けと合わせて普及を目指す。
製品の基本仕様は4月に発売した戸建て向けの新型エネファームと同じだが、より強い耐震性と耐風性が求められるため、機器本体を固定する脚部の強度を高めたほか、戸建て用では3カ所に分散していた排気口を1カ所に集約。秒速30メートルの強風の下でも運転できるようにし、高層階での設置も可能にした。
エネファームは都市ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電する仕組み。新製品の発電出力は200~750ワットで、火力発電による電力供給と都市ガス給湯器での給湯に比べ二酸化炭素(CO2)排出量はほぼ半減。3人世帯のモデルケースでは年間の光熱費は約3万~4万円少なく、CO2排出量も約1トン削減できるという。
東ガスによると東京都品川区のマンション2物件、計456戸で採用される見込みで、初年度は合計500台の受注を目指す。
マンション向けの製品を開発した背景には、首都圏を営業エリアとする東ガスならではの事情がある。同社によると、12年度の新築住宅着工件数のうち全国では約6割が戸建てだったが、着工件数が14万3000戸の東京都ではマンションが約6割を占めた。このためマンション向けを用意しなければ首都圏での需要は広がらないと判断した。東ガスの穴水孝・燃料電池事業推進部長は「普及への大きな弾みになる」と自信をみせる。