バブル崩壊とともに失われた日本企業の古き良き「家族主義的経営」。今や大企業ですら福利厚生費を圧縮し、保養所や社宅などはどんどん姿を消した。ところが、費用の掛かる福利厚生を手厚くしているにもかかわらず、業績を伸ばしているIT関連企業がある。通信サービス業のブロードエンタープライズ(大阪市北区)だ。家族の医療費まで負担する太っ腹な“超家族主義的経営”を貫いている。新興のIT企業=「合理主義の塊」というステレオタイプのイメージは崩れつつある。
家族の医療費まで支給
「社員が笑顔でなければ、顧客を笑顔にできない」
同社の中西良祐社長には、こんな信念がある。社員が健康で仕事を楽しんでこそ、顧客を満足させ、業績も伸びるという考えだ。
この信念に基づき、同社には約30項目の福利厚生・処遇制度がある。
30項目は、携帯電話の無料貸与など多くの一般企業で導入されている「労使レベル」▽社長との昼食会などの「仲間レベル」▽家族の医療費まで負担する「家族レベル」-の3つに区分されているが、在籍年数や成績に関係なく、新入社員でも全レベルの制度を受けられる。