ただ、国内では自動運転車に対するユーザーの関心はまだまだ薄い。デロイトトーマツコンサルティングの周磊(しゅうらい)シニアマネジャーは「メーカーの技術力、インフラ整備に加え、消費者のニーズの高まりも必要だ」と話す。運転に自信がない高齢者、新しい価値の「移動手段」として若者を取り込むことが、普及の鍵を握りそうだ。
メーカー悩ます「自己否定」のジレンマ
自動車メーカーにも迷いがある。
ある国内メーカー幹部は「技術ができたからといって商品化するわけではない。運転する楽しさを競い商品化している自動車メーカーにとって自動運転車は自己否定になる」と打ち明ける。
事実、日産を除く国内大手は、自動運転車に対する関心は高いとはいえない。トヨタ自動車は、今年1月に試作車を発表したが、今のところ市販化の計画はない。1台数千万円とみられる高い製造コストの削減も大きな課題だ。