三井造船の田中孝雄社長は21日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、洋上で石油やガスの生産・貯蔵、積み出しを行う浮体式設備(FPSO)の製造を2020年に現在の1.5倍に拡大する方針を明らかにした。成長が見込まれる海洋資源開発事業を強化する。造船事業では、川崎重工業との統合交渉は白紙になったものの、液化天然ガス(LNG)運搬船の受注などで他社と連携し、生き残りを目指す。
FPSOは子会社の三井海洋開発が手がけており、世界シェアは2位。1基で約1500億円という大型案件で、アフリカやアジア、ブラジルの沖合で需要が増加している。
田中社長は「能力を増やし、規模を拡大していく」と強調。設計の一部を三井造船が肩代わりしたり、20人程度の人員を三井海洋開発にシフトするなどして、現在の年2基の製造能力を20年に3基に高めたい考えだ。
一方、LNG船について、田中社長はLNGの輸入増や米国のシェールガス開発を背景に、「今年から来年にかけ、大量に発注される」と指摘。「(建造能力が)年2、3隻なので、案件ごとに(他社と)組んで対応したい」と述べた。三井造船が得意な球形タンクのLNG船を製造する川崎重工や三菱重工業などとの連携を視野に入れており、今年度中に最初の案件が決まる見込みという。