今年5月。2年連続の巨額赤字を計上したパナソニックが、急増する「サイバー攻撃」対策事業に本格参入するというニュースが世界を駆け巡った。企業や大学などへのサイバー攻撃に使われるウイルスや感染経路を解析し、対応策などをアドバイスする事業を今年度中にも始めるというのだ。
しかし、同分野では、ラック(東京)、トレンドマイクロ(同)などのライバルが既に確固たる地位を築く。パナソニックは、家電で培ってきたブランド力を生かし、そこに割って入ろうとの思惑だが、果たして勝算は…。
サイバー被害者の“救急病院”
「セキュリティーの専門企業でもないパナソニックが、サイバー対策を食いぶちにするとは…」
関西のある大手メーカー幹部は、半ばあきれつつ驚く。
実際に事業を手がけるのは、ITビジネスを手がける子会社、パナソニックソリューションテクノロジー(東京)だ。