パナソニックは13年3月期まで2年連続で7000億円を超す巨額の最終赤字を見込む。デジタル家電の普及に伴い韓国や台湾勢が台頭し、パナソニックなど日本勢は業績不振にあえぐ。
その象徴がテレビ事業だ。汎用化した薄型テレビは技術的に差別化が難しくなり、価格競争が激化した。とくに液晶テレビに押され、不振のプラズマテレビについて津賀社長は「撤退もゼロではない」と述べた。
赤字が続くテレビ事業の教訓を生かし、中期計画では設備投資を抑制する。デジタル家電向け半導体は設計開発を富士通と統合。さらに生産の外部委託を検討するなど、自社工場での生産にこだわる「自前主義」と決別する。
4月には事業部制を導入し、各事業で開発、生産、販売の責任を持つなど構造改革を進める。今後は経営資源を、堅調な企業向けビジネスにシフト。浮き沈みの激しい消費者向けビジネスに頼る経営体質からの脱却を目指す。旧パナソニック電工出身の長栄副社長の会長起用も、照明などの住宅関連部門を強化する狙いとみられる。