今後の焦点は、西武HDのリストラ対象の事業の将来性をめぐり、収益性と公共性のどちらを重視するのか、という点に尽きる。しかし、米国流の「企業価値の向上」と、日本流の「公共性優先」という考え方の違いは並行線をたどったままで、今後の協議は難航必至だ。太田昭宏・国土交通相は26日の会見で西武HDの経営について触れ、「安全で安定的な良質な鉄道輸送サービスの確保の観点から、動向を注視したい」と述べた。
ただ、双方の主張には不透明な点もある。サーベラスが指摘する西武HDの企業統治や内部統制の不安定さについては説得力に欠けるとの指摘がある。一方、西武HDの有識者会議も、鉄道会社の首脳や親密先の関係者の集まりで、客観性を疑問視する声がある。
4月23日を期限とするTOBの成立はほぼ確実とされており、再上場の時期やリストラ策などの落としどころを探る協議に移行するとみられる。西武HDは発行済み株式の13%を個人株主が占め、鉄道や球団のファンも多く、透明性の高い情報発信と説明責任が求められる。