活版印刷で起きてること
「最近は、若い人からの相談が多いです。僕は活版印刷を40年以上変わらずにやってきているから、不思議な気持ちです。それに活版印刷は安くないですしね」。インクと印刷機の油の匂いが立ち込める作業場で弘陽の三木弘志さんは、いろは順にならぶ活字を手際よくひとつずつ拾いながら、パズルを組み立てるように名刺の文字を組んでいく。近年活版印刷は再発見され、組み版やひとつひとつ異なる印刷の独特な風合いなど、活版印刷を表現として扱う動きが出てきた。もちろんnomazon本の中にも活版印刷で印刷されたものがある。「手段」であったものが、「表現」として扱われているというのは面白い。
魅力伝えるワークショップ
三木さん自身が活版印刷の魅力を再認識したのは、15年ほど前に都立工芸高校の夜間クラスで活版印刷を担当した際に、いたく感動した生徒から「活版印刷を残していってほしい」という感想文をもらったことがきっかけだという。