KDDIが繰り返していた1円入札は、そのものが違法なわけではない。しかし、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いに目を光らせるほか、天下りや官民癒着の温床となったり、システム開発が頓挫したり性能を達成できないなど数多くの問題をはらんでいる。
国内の衛星携帯市場は、2011年度で9万7000台に過ぎないが、東日本大震災後、非常時の通信手段として官民で需要が急増。「2桁成長が期待できる」(大手通信事業者)有望市場だけに、大手事業者によるコスト割れ入札がまかり通れば、健全な競争は成り立たない。
1円入札が知られるようになったのは、富士通が1989年に広島市水道局のシステム開発を1円で落札したのが最初。その後、NECやNTTデータなど大手IT企業でも相次ぎ表面化。