ソニーとパナソニックが共同で有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルの生産会社を設立する背景には、産声を上げたばかりの「次世代テレビ」市場をめぐる、韓国メーカーとの激しい覇権争いがある。往年のライバルである2社が手を取り合って、“日の丸電機”の復権を目指す。
両社が提携を拡大するのは、過剰投資で失敗した液晶など薄型テレビ事業の二の舞いを演じないためだ。パナソニックはかつてプラズマパネル工場に集中投資したが、広く普及することのないまま、一部生産停止に追い込まれた。ソニーも韓国サムスン電子との液晶パネルの合弁生産を解消した。
テレビは汎用(はんよう)品化が進んだことで、価格は下落。長引く円高の打撃も受け、日本勢はかつての稼ぎ頭であるテレビ事業に足を引っ張られるようになった。
平成24年3月期のテレビ事業は、ソニーが8期連続、パナソニックが4期連続で赤字となった。テレビ事業の不振が響き、両社とも同期は過去最悪の最終赤字を計上。いずれもテレビ生産台数を絞り、事業の立て直しを急いでいる。