開業当初、ジェイアール名古屋高島屋も苦戦したが、JR東海は「鉄道会社は流通に詳しくない」(同社幹部)と立て直し策はすべて同店の運営会社に委ねた。このJR東海の「カネは出すが口は出さない。責任はJRが取る」スタイルに対し、JR西は「カネも出すし、口も出す」手法だが、百貨店の現場にとってはJR東海方式がやりやすいのは明白だ。
大阪・北浜。東京・兜町と並ぶ証券の街に、かつてに三越大阪店があった。上得意客の大半は60歳以上だったが、JR大阪三越伊勢丹の品ぞろえは若すぎるという。同店の関係者は「売り場のイメージが違いすぎるとのおしかりを受ける」と話す。
開業から約1年8カ月が過ぎても、大阪の街には浸透せず、売り上げが伸び悩むJR大阪三越伊勢丹。親会社同士の確執まで表面化する中、成長軌道に乗せるためには、固定概念や先入観を取り除いた上で、地域性を重視した新たな百貨店モデルを示すことが必要となる。(松村信仁)