経産省は原発事故を起こし、公的資金を投入された東京電力の値上げ申請の時のような厳格さは求めない方針だが、関電の値上げ幅は9月に実施した東電を上回るため、幅の圧縮は避けられそうにない。
焦点となるのが、他業界と比べて高水準とされる人件費となりそうだ。関電は年間社員給与を平均790万円から664万円に引き下げる計画だが、審査基準で目安とされる従業員1000人以上の大企業の平均年収(約596万円)を上回り、さらなる削減を迫られるのは確実だ。人件費のほかにも、燃料を効率的に調達しているか、設備更新などで競争入札が実施されているかなどを幅広く調べる。東電の値上げ審査の場合でも、委員会などの過程で燃料費などが削減され、値上げ幅は2%近く圧縮された経緯がある。
加えて、関電が値上げ幅圧縮の前提とした原発再稼働のスケジュールは流動的だ。原子力規制委は来年7月までに原発の新安全基準を作り、この基準に沿って安全性が確認された原発が再稼働の対象となる。