さらに、10年冬には居酒屋チェーン「養老乃瀧」で、トイレッツの画面に「酎ハイ」の広告を2週間表示したところ、その期間の「酎ハイ」の注文件数が2.2倍に増加したことがわかるなど、トイレッツの広告媒体としての力が裏付けられた。
3000台需要…海外も
実用化に向けた課題はマーケティング活動だけではなかった。生産コストの問題も立ちはだかった。試作機は1台30万円以上にもなったため、「販促ツールとして導入するには高く、新市場を創造するにはコストダウンが欠かせない」。液晶モニターの調達方法などを見直すことで、1台当たり約15万円と大幅にコストを抑えることに成功し、実用化への道は開けた。
思わぬ副産物もあった。小便器には的になるシールを貼ってある。この的の位置は、用を足したとき、最も飛散しづらい高さに設計されている。このため、利用者がゲームに熱中し、真剣に的を狙うため、「導入店舗からはトイレがきれいになり、掃除が楽になった」と取引先から声をかけられることも少なくないという。